人が認められたいと思う理由 〜承認欲求のメカニズムとその付き合い方〜

私たちはなぜ「認められたい」と思うのでしょうか。仕事、家庭、友人関係、SNSなど、あらゆる場面で人は他者からの承認を求めます。この欲求は私たちの行動や心理に大きな影響を与え、モチベーションや自己評価にも関わってきます。

本記事では、心理学や行動分析学の視点から「認められたい」という欲求の背景を探り、より健全に承認欲求と向き合う方法を考えます。


人が認められたいと感じる理由

「認められたい」という気持ちは、心理学において「承認欲求(Need for Approval)」と呼ばれます。これは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの「欲求階層説」にも示されているように、人間の基本的な欲求の一つとされています。

マズローは人間の欲求を五段階に分け、その中で「社会的欲求(所属と愛の欲求)」と「承認欲求」が、私たちの行動を大きく左右すると説明しました。

(1)マズローの欲求階層説による承認欲求の位置付け

マズローの欲求階層説では、以下のような段階をたどるとされています。

  1. 生理的欲求(食事・睡眠など生命維持に必要なもの)
  2. 安全欲求(住居・健康・経済的安定など)
  3. 社会的欲求(家族・友人・職場などの人間関係)
  4. 承認欲求(他者からの尊重・評価)
  5. 自己実現欲求(自分の理想を達成すること)

承認欲求は、自分が社会の中でどのように見られているかを意識し、他者からの評価を通じて自己価値を確認するために生じます。

(2)進化心理学的な視点

進化心理学の観点からも、人が承認を求めるのは自然なことと考えられています。人類は長い歴史の中で集団生活を営んできました。個人が集団に受け入れられなければ生存の危機にさらされるため、社会的な承認を求める心理が発達したと考えられています。

承認欲求の2つの種類

心理学者アルバート・バンデューラの社会的学習理論によると、承認欲求には大きく分けて次の2つがあります。

(1)外的承認欲求(他者からの評価を求める欲求)

  • SNSの「いいね」やフォロワー数を気にする
  • 職場で上司からの評価を得ることを重視する
  • 他人と比較して自分の優位性を確認する

外的承認欲求が強すぎると、他者の評価に振り回されやすくなり、自己肯定感が揺らぐ原因になります。

(2)内的承認欲求(自分自身が納得することを求める欲求)

  • 自己成長や目標達成に喜びを感じる
  • 「自分のやるべきことをやった」という満足感
  • 他人の評価よりも自分の価値観を重視する

内的承認欲求を高めることで、外的な評価に依存せず、安定した自己肯定感を保つことができます。

承認欲求が強すぎるとどうなるか?

承認欲求そのものは悪いものではありません。しかし、過度になると以下のような問題が生じることがあります。

(1)SNS依存や過度な比較

SNSでは「いいね」やフォロワー数といった外的承認の指標が明確に可視化されます。これに依存すると、他者と自分を比較して自己価値を決めてしまうようになり、精神的なストレスを感じやすくなります。

(2)過剰な努力や自己犠牲

職場や人間関係での評価を気にしすぎると、「認められるために頑張らなければ」というプレッシャーがかかり、疲弊してしまいます。

(3)自己評価の低下

承認欲求が強いと、他人の評価が得られなかったときに「自分には価値がない」と感じやすくなります。これが続くと、自己肯定感の低下につながります。

承認欲求とうまく付き合う方法

(1)自己承認の習慣をつける

日々の小さな成功を認め、自分で自分を褒める習慣をつけることが大切です。

(2)価値観を明確にする

他人の評価ではなく、「自分は何を大切にしたいのか」を明確にすることで、外的承認に振り回されにくくなります。

(3)行動分析学を活用する

行動分析学では「強化」の概念を活用し、ポジティブな行動を増やすことを推奨します。「自分の努力を振り返り、言葉にする」ことで自己承認を強化できます。


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